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鼎談『TradeWaltz®の利用とその先に見えてきたものとは』 ~三菱商事プラスチック×西日本鉄道×トレードワルツ~

2022.10.07
2022.10.07
鼎談『TradeWaltz®の利用とその先に見えてきたものとは』 ~三菱商事プラスチック×西日本鉄道×トレードワルツ~

三菱商事プラスチック株式会社 工業樹脂本部 高機能製品部 岡部朋也氏(写真中央)
西日本鉄道株式会社 国際物流事業本部 東日本営業部 東日本第一統括 関東第一営業所 齋藤大輔氏(写真右)
株式会社トレードワルツ マーケティング&セールス本部 猪飼泰秀氏(写真左)


製品版TradeWaltz®の導入から3ヶ月半が経過した三菱商事プラスチック様。さらに同社の情報連携先である西日本鉄道様。商社と物流会社という異なる業種の両社が互いにメールでやり取りしていたものがTradeWaltz®上でできるようになったことで、一定の業務効率化が図れたといいます。今回は三菱商事プラスチックの岡部朋也氏と西日本鉄道の齋藤大輔氏に、利用開始前から現在に至るまでに感じたTradeWaltz®のメリットや課題、各社が考える貿易の未来について、トレードワルツ社員を交えてお話しいただきました。

利用開始前後もフォロー体制は十分

――まずは各社のご紹介をお願いします。

岡部:三菱商事プラスチック株式会社(以下、MCP)は、汎用プラスチックから高機能プラスチックまで、あらゆる産業で必要とされるプラスチックの素材を扱う会社です。ゴムの原料や物流のパレットといったプラスチック素材だけでなく、私が所属する高機能製品部では半導体向け材料を取引するなど、非プラスチック素材も取り扱っています。現在は、日本から台湾や中国向けの輸出時に西日本鉄道様を含む物流会社様への情報連絡手段として、TradeWaltz®を利用しています。

齋藤:西日本鉄道株式会社(以下、NNR)は福岡県に本社を置き、自動車事業や鉄道事業、住宅事業、都市開発事業、ホテル・レジャー事業、国際物流事業を国内外で展開しています。その中でも私が所属する国際物流事業本部では、お客様のご依頼を受けて荷物を運ぶお手伝いや通関手続き、あるいは梱包手続きや集荷も含めてお受けしています。

猪飼:株式会社トレードワルツはMCP様をはじめ、貿易業務に携わる企業様に導入いただいているTradeWaltz®をSaaSとして提供、運営しています。2022年4月にリリースした製品版TradeWaltz®は、ブロックチェーン技術を活用しながら産業横断的に企業間コミュニケーションをデジタル化する、貿易情報連携プラットフォームです。これまでのアナログ貿易を完全電子化していくために、個々のお客様に合った提案をしながら製品の普及に努めています。

――TradeWaltz®の説明を聞いて、どのような印象を受け、どのような点に魅力を感じましたか。

岡部:「貿易の未来をつくる」という理念や「日本の貿易が抱える課題を解決する」という世界観に共感したのが第一です。とは言え、いくら理念に共感したとしても、会社としてメリットのないことにコストはかけられません。導入検討のスタディをしていく中で、弊社としてもメリットが出そうだと分かったのも魅力的でした。

齋藤:書類保管やメールでのやり取りといった実務の煩雑さを軽減し、さらにデータ管理を一元化したり可視化できたりするというお話を聞き、弊社のお客様である輸出入者様にとって魅力的なサービス内容だと感じました。実務の現場ではメールのやり取りが非常に多くなっていることもあり、メールにかける工数を減らせるのは大きいですね。

――TradeWaltz®の利用開始前後のフォロー体制は十分でしたか。

岡部:改善要望を出すこともありますが、いつも真摯に対応していただいている印象です。すぐに対処できるものは改善していただいていますし、こちらから伝えっぱなしになる、ということはないですね。

齋藤:利用開始にあたっては、弊社まで実際にお越しいただいたうえで操作方法を細かく教えていただきました。私だけが理解しても意味がないので、現場で操作する者たちへ直接伝えていただけたのはとても良かったです。利用開始直後は電話で問合せをすることもありましたが、毎回丁寧にご対応いただきました。

猪飼:弊社としては、率直な改善要望をいただけることをとてもありがたく思っています。MCP様やNNR様のように、貿易業務の効率化や貿易の未来について当事者意識をもって取り組まれているユーザー様のご意見・ご要望は、大変貴重です。いただいたものに真摯に向き合いながら、システムに活かしていけるように社内で鋭意取り組んでおります。

相手が本当に知りたい情報を届ける

――TradeWaltz®ご利用前後における2社間のやり取りの変化について教えてください。

齋藤:大きく変わったのは、次の2点です。1つ目は、これまでMCP様とメールでやり取りしていたものがTradeWaltz®上で通知を授受できるようになったこと。2つ目は、以前はメールでご連絡していた航空貨物運送状(AWB)に記載されているサイズや重量といった情報、許可証を全てTradeWaltz®にアップロードできるようになったことです。

岡部:MCPとして一番の変化かつ効果は、TOSS(受発注システム)からTradeWaltz®を介してNNR様へ情報連携できるようになったことですね。これまで2つの画面を見ていたものが1つで済むようになりました。TradeWaltz®導入前はTOSSから出力したインボイスやパッキングリストをメールに添付する、という作業が1日に何十件分も発生していたので、結構な時間がかかっていたんです。

チャット機能が使えるようになったのも良い変化ですね。メールの場合はどうしても「○○様 お世話になっております。~ 以上、よろしくお願いいたします。○○」というように一定の型式の中で書かなければならず、長くなりがちです。一方で、チャットの場合は本当に必要な内容だけを送受信できるため、業務効率化につながっていると感じます。

齋藤:メールの主要な箇所を除いた部分が無駄とは思いませんが、そういったところにも一定の時間がかかってしまいますよね。メールではなくチャットで連絡することで仮に1件辺り1分削減できただけでも、年間で見れば結構な時間数の削減になると思います。

――実務に携わる社員様からはどのような声が聞かれていますか。

岡部:先ほど申し上げたような変化があったので、実務担当者からは作業が楽になったことや業務が効率化されたことに対する感謝の声が多いですね。ネガティブな意見はあまり聞こえてきません。

齋藤:これまでは、貨物の箱のサイズと重量を個別にメールでご案内していました。現在はTradeWaltz®上で数字を入力して保存するだけなので、その点においては業務的にかなり楽になっているという声がありますね。実は、異なる2種類のサイズの貨物があった場合も、運送状には箱ごとのサイズや重量の情報は記載されていません。そうした点からも、TradeWaltz®を利用することで、私たちのお客様であるMCP様が本当に知りたい情報をご提供できていると感じています。

一方で弊社は、以前から利用しているシステムとTradeWaltz®をAPI連携しているわけではないので、ダブルモニターで業務を行っています。どうしても二重インプットが生じてしまっている点や、インボイスやパッキングリストなどの書類を1つずつクリックしてダウンロードしなければならない点などが課題として挙がっているのも事実です。

猪飼:今後、NNR様のお客様の中でTradeWaltz®ユーザーが増えて情報連携先が増えれば、TradeWaltz®を取引ステータスやタスク確認といった業務管理ツールとしても使えるようになります。二重インプットの手間が発生しないようにAPI連携も視野に入れながら、よりメリットを感じていただくためのご提案を今後もさせていただきます。

貿易業務の全体最適化と新たな価値の創造に向けて

――今後、TradeWaltz®に実装してほしい機能やサービスについて教えてください。

岡部:三国間取引にもサービスを展開していただけたら、より利用できる範囲が広くなると思っています。また、保険会社や銀行も巻き込みながら、保険付保やLCの手続きを含む一気通貫の情報連携が早期に実現することを期待しています。物が注文されるところから全てが始まることを思えば、受発注データへ最初に入力するデータを各社でもっとうまく使えるようになると良いな、とも思いますね。

齋藤:弊社では「この荷物、どうなっていますか」というお客様からのお問合せに対し、航空会社様のHPを見にいったり、NACCSを使ったりして確認しています。こうした情報がTradeWaltz®上で確認できるようになれば、弊社への問合せ件数が減るというメリットにもつながると思っています。

また、輸出でも輸入でも、梱包後の荷姿がTradeWaltz®上で見えるようになると良いですね。よく、「日本の貨物はきれいだ」と言われます。海外のものに比べて頑丈に梱包されていることが多くてダメージが少ない反面、過剰梱包をしているケースも否めません。お客様側でも荷姿が可視化できれば、私たちからお客様に対するご提案内容も変わってくると思います。

猪飼:弊社のシステムはユーザーであるお客様の業種が幅広い中で「皆様に対してどのような価値が提供できるのか」、日々検討を重ねています。先ほどの梱包のお話のように、これまで痒くても手が届かなかった部分をプラットフォーム上で可視化したり実現できたりすれば、新たな価値の創造にもつながるでしょう。そうしたものも今後、私たちのサービスに盛り込んでいけたらと思います。

――最後に、各社が考える貿易の未来について教えてください。

岡部:一言で言うと、「全体最適に近づけること」ですね。現状の貿易業務は、個別最適で無駄が多いと言わざるを得ません。1回の取引において、同じ情報を何社ものプレイヤーが別々のシステムに入力し、一部企業間は紙で情報伝達を行っているのが実情です。どこかの企業がTradeWaltz®に情報を入力すれば、関係する各プレイヤーがその情報にアクセスできたり、利用できたりする状態になるのがベストだろうと思っています。

齋藤:貿易の未来を「物流の未来」と置き換えると、人口減少が見込まれる中で人材不足が課題として挙げられます。そうした中で、今まで人間が担っていた仕事のうちシステムで対応できるものは、システム化していくことが重要です。システムを賢く利用しながら人手不足の中でも業務を効率化し、より付加価値のあるサービスに目を向けられる時間が増えればと思っています。

猪飼:いつ、どこからでも貿易業務を行えて、その先にいる国内外の方々に正確な情報がリアルタイムで届くー。そんな当たり前のことが当たり前に行われる世界、未来をつくっていかなくてはならないと思っています。そうした未来をつくるためにシステムのブラッシュアップやアップデートをし続けながら、現在のアナログ貿易から脱却したいと考えている企業様の一助となれるように、引き続き頑張っていきたいと思います。

 

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